スタジオ撮影とロケーション撮影の違い
前撮りをどこで撮るか。大きく分けるとスタジオか、屋外のロケーションかの2つです。どちらが良いというものではなく、得られるものが違います。この記事では、光の作り方から着崩れ、時間の使い方まで、実際に何が変わるのかを整理しました。

先に、いちばん大きな違い
光を「作る」か、その場の光を「使う」か。ここがすべての違いの元です。
- スタジオ:光を組み立てられる。天候に左右されない
- ロケーション:その日その場の光を使う。背景に本物の景色が入る
- 着崩れの心配はロケーションのほうが大きくなります
- 時間の使い方も変わります。移動が入るためです
- 当店はスタジオ撮影のみで、ロケーション撮影は行っておりません
順に見ていきます。
スタジオ撮影とは
撮影専用に作られた室内で撮る形です。照明を組み、背景を選んで撮ります。
- 光を作る:照明の位置と強さを決めてから撮ります
- 天候に左右されない:雨でも雪でも予定どおりに進みます
- 背景を選べる:背景紙、インテリア空間など
- 移動がない:着替えも支度も同じ場所で完結します
- 着崩れが起きにくい:歩く距離が短く、風もありません
- 時間を撮影に使える:移動の時間がそのまま撮影に回ります
スタジオの中でも、白い背景紙で撮るか、家具や草花のある空間で撮るかで印象が変わります。この違いについては別の記事にまとめました。

ロケーション撮影とは
屋外や、スタジオ以外の場所で撮る形です。神社、公園、庭園、街並みなどが選ばれます。
- 本物の景色が入る:作り物ではない背景が残ります
- 季節が写る:桜、紅葉、雪。その時期にしかない景色があります
- 自然光を使う:やわらかい光で撮れます
- 空間の広がりが出る:スタジオでは出せない奥行きがあります
- 天候に左右される:雨天時の対応を決めておく必要があります
- 移動と時間がかかる:支度の場所から現地への移動が入ります
並べて比べる
| 項目 | スタジオ | ロケーション |
|---|---|---|
| 光 | 照明を組んで作る | その日その場の自然光 |
| 天候 | 影響を受けない | 雨天時の対応が必要 |
| 背景 | 背景紙・インテリアから選ぶ | 実際の景色 |
| 季節感 | 小物や装飾で表現する | その時期の景色がそのまま入る |
| 着崩れ | 起きにくい | 歩く・風・座るで崩れやすい |
| 移動 | なし | 支度の場所から現地へ |
| 時間 | 撮影に集中できる | 移動の分だけ撮影時間が減る |
| 寒暖 | 室内で一定 | 冬は寒く、夏は暑い |
| 他の人の写り込み | なし | 公共の場所では起こりうる |
| 撮り直し | その場でできる | 光と天候が変わると難しい |
振袖は屋外での負担が大きい衣装です
袖が長く、裾も長く、草履で歩きます。屋外では砂や泥がつきやすく、風で袖が乱れ、長時間の移動で足も疲れます。ロケーション撮影を選ぶ場合は、この点を織り込んで日程と場所を決めてください。
光の話をもう少し
スタジオとロケーションの違いは、突き詰めれば光の違いです。ここを理解しておくと、どちらを選ぶかの判断がつきやすくなります。
スタジオの光は、決めてから撮る
主となる光をどこから当てるか、影をどこに落とすか、顔の下の影をどう起こすか。これらを決めてから撮ります。決めた光は、その日ずっと同じです。1枚目と50枚目で条件が変わりません。
振袖の色を正確に出したいときも、金彩や刺繍を光らせたいときも、光の角度を変えれば対応できます。「こう見せたい」に対して光で答えられるのが、スタジオの強みです。

屋外の光は、時間とともに変わる
屋外では、その日の空と時間帯がそのまま光になります。同じ場所でも、朝と夕方では色も影も違います。雲が出れば柔らかくなり、晴れれば影が強く出ます。
| 時間帯 | 光の性質 | 振袖の写り方 |
|---|---|---|
| 朝 | やわらかく、やや青い | 色が落ち着いて出ます |
| 日中(晴れ) | 強く、影がはっきり出る | 顔に影が落ちやすくなります |
| 日中(曇り) | 柔らかく均一 | 色が素直に出ます。撮りやすい条件です |
| 夕方 | 赤みが強い | 写真全体に色がつきます |
| 日陰 | 柔らかいが暗め | 落ち着いた写りになります |
この変化を「その日らしさ」として受け取るなら、ロケーションは魅力的な選択です。「振袖の色を正確に残したい」であれば、スタジオのほうが確実です。
写真としてどう違うか
仕上がりの違いを、もう少し具体的に見ておきます。
振袖の色の出方
スタジオでは、振袖の色が正確に出るように光を組みます。屋外では、その日の空の色や周囲の反射で色が変わる。曇りの日はやや青みが乗り、夕方は赤みが乗ります。
柄の見え方
振袖の柄を見せたいなら、スタジオのほうが向きます。背景が整理されているぶん、柄が写真の中心になるためです。屋外では背景の情報量が多く、柄が景色に紛れることがあります。
写真の主役
スタジオの写真は、人物と振袖が主役になります。ロケーションの写真は、人物と景色の両方が主役になります。どちらを残したいかで選び方が変わります。

支度をどこでするか、という問題
ロケーション撮影を考えるときに見落とされやすいのが、着付けとヘアメイクをどこで行うかです。
- 写真館やスタジオで支度をして、現地へ移動する:移動中に着崩れる可能性があります
- 現地の近くで支度をする:場所の手配が必要になります
- 美容室で支度をして、現地へ向かう:時間の組み方が複雑になります
いずれの形でも、支度の場所から撮影場所までの移動が入ります。振袖で公共交通機関に乗るのは負担が大きく、車での移動でも乗り降りで着崩れます。
スタジオ撮影であれば、この問題そのものが起きません。支度も撮影も同じ場所で完結します。当店で「移動がない」ことを利点として挙げているのは、この違いがあるためです。
どちらが向いているか
| こう考えているなら | 向きやすい選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 振袖の柄をきれいに残したい | スタジオ | 背景が整理され、柄が主役になります |
| 季節の景色を入れたい | ロケーション | 桜や紅葉はその場でしか撮れません |
| 天候に左右されたくない | スタジオ | 雨でも雪でも予定どおり進みます |
| 家族全員で撮りたい | スタジオ | 移動と待ち時間の負担が少なくて済みます |
| 祖父母も一緒に | スタジオ | 室温が一定で、休憩もとりやすいものです |
| たくさんの衣装で撮りたい | スタジオ | 着替えが同じ場所でできます |
| 広がりのある写真がほしい | ロケーション | スタジオでは出しにくい奥行きがあります |
| 寒い時期に撮る | スタジオ | 冬の屋外は表情が固くなります |
| 時間を撮影に使いたい | スタジオ | 移動の時間がそのまま撮影に回ります |
両方を組み合わせる形を用意している写真館もあります。スタジオで撮ってから屋外へ移動する、という進め方です。対応しているかは店によります。
ロケーション撮影を選ぶときに確認すること
場所について
- 撮影場所はどこか。複数から選べるか
- 撮影の許可が必要な場所か。使用料はかかるか
- 移動の手段と、支度をする場所
- 他の人の写り込みがどの程度あるか
天候について
- 雨天のときはどうなるか(延期か、スタジオへの変更か)
- 延期の場合、いつまでに判断するか
- 延期の手数料はかかるか
振袖と身体について
- 着崩れの直しは誰が行うか
- 歩く距離と時間はどれくらいか
- 休憩できる場所はあるか
- 暑さ・寒さの対策はあるか
- 振袖が汚れた場合の扱いはどうなるか
最後の項目は見落とされがちです。レンタルの振袖を屋外で着る場合、汚れたときの扱いを先に確認しておいてください。
成人式当日にロケーション撮影はできるか
ご質問をいただくことがあります。結論としては、現実的ではありません。
| 問題 | 中身 |
|---|---|
| 時間 | 朝の支度、式典、友人との時間。撮影を挟む余裕がありません |
| 天候 | 雨天でも延期できません。その日しかないためです |
| 着崩れ | 一日着たあとでは、朝の状態とは変わっています |
| 体力 | 朝早くからの支度で、夕方には疲れが表情に出ます |
| 混雑 | 同じ日に同じ場所へ人が集まります |
成人式当日は、式と友人との時間に使っていただくほうが良いと思います。落ち着いて写真を撮る時間は、別の日に取ったほうが確実です。
よくある失敗
| 失敗 | なぜ起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 雨で撮影ができなかった | 雨天時の取り決めがなかった | 契約前に雨天時の対応を確認する |
| 寒くて表情が固くなった | 冬の屋外を選んだ | 寒い時期はスタジオを検討する |
| 着崩れて写真に出た | 長く歩いた | 直せる人が同行するか確認する |
| 振袖の裾が汚れた | 屋外の足元を考えていなかった | 場所と天候、汚れたときの扱いを確認する |
| 他の人が写り込んだ | 公共の場所だった | 時間帯と場所を相談する |
| 移動で時間がなくなった | 移動時間を見ていなかった | 撮影に使える時間を先に確認する |
| 振袖の柄が背景に紛れた | 背景の情報量が多かった | 柄を見せたいならスタジオも検討する |
| 祖父母が疲れてしまった | 移動と待ち時間が長かった | 家族が多いならスタジオを検討する |
スタジオノーブレムの場合
はっきりお伝えしておきます。当店はスタジオ撮影のみで、ロケーション撮影は行っておりません。
屋外での撮影をご希望の場合は、対応している写真館をお選びいただくことになります。その点をご承知おきください。
そのうえで、当店がスタジオでできることを記載します。
- 光を組んで撮ります:振袖の色が正確に出るように照明を組み立てます
- 背景紙とインテリア空間から選べます:それぞれ印象が変わります
- 天候に左右されません:雨でも雪でも予定どおりに進みます
- 家族撮影も同じ場所で:移動がないため、祖父母のご参加も負担が少なくて済みます
- 着崩れが起きにくい:歩く距離が短く、直しもその場でできます
- 時間を撮影に使えます:移動の時間がありません
創業以来、スタジオで撮ることに設備と経験を向けてきました。振袖の柄と色を正確に残すという点では、この形が最も確実だと考えています。
スタジオでも「作り込みすぎない」撮り方はできます
スタジオというと、かしこまった記念写真を思い浮かべる方がいらっしゃいます。実際にはそうとは限りません。
- 背景を変える:白い背景紙か、家具や草花のある空間か
- 光を柔らかくする:影を弱くすると、日常の光に近い写りになります
- 引きで撮る:人物を小さく、空間を広く入れると景色の写真に近づきます
- 会話の中で撮る:構えた表情ではなく、話している途中の顔を残します
- 座る・歩く:立ち姿だけにしない
「スタジオだから固い写真になる」わけではありません。光と背景と撮り方で、写真の性格は変わります。どんな写真にしたいかを先にお伝えいただければ、それに寄せて組み立てます。
「かしこまった写真は苦手で」とおっしゃる方は少なくありません。そういうときは、光を柔らかくして、会話をしながら撮ります。仕上がりをご覧になって「思っていたのと違った」と言われることは、まずありません。
見学のときに確かめておくこと
撮影場所の話は、実物を見るといちばん早く分かります。見学のときに次の点を見ておいてください。
スタジオを見るとき
- 背景の種類はいくつあるか
- 天井の高さと広さ(引きで撮れるか)
- 照明の設備がどうなっているか
- 着替えと支度の場所が同じ建物にあるか
- ご家族が待てる場所があるか
ロケーションを検討するとき
- 撮影場所を実際に見られるか
- 支度をする場所はどこか
- 移動の手段と時間
- 雨天時の取り決め
- 着崩れを直せる方が同行するか
当店では、ご見学の際にスタジオをご覧いただけます。背景紙とインテリア空間の両方を見ていただいたうえで、どちらで撮るかをお決めいただく形です。撮影の前に見ておくと、当日の想像がつきやすくなります。
まとめ
もう一つ、決め方の順序について書いておきます。「どちらで撮るか」を先に決めるより、「どんな写真を残したいか」を先に決めるほうが迷いません。振袖の柄をきちんと見せたいのか、その季節の空気を残したいのか。そこが決まれば、場所は自然に決まります。
迷われる場合は、両方の作例を見比べてみてください。言葉で考えるより、実際の写真を見たほうが早く決まります。当店のスタジオ作例は撮影事例のページでご覧いただけます。
光を作るか、その場の光を使うか。スタジオとロケーションの違いは、突き詰めればここにあります。
振袖の柄と色をきちんと残したい、天候に左右されたくない、家族全員で撮りたい。この3つのいずれかが当てはまるなら、スタジオが向きます。季節の景色を写真に入れたいなら、ロケーションです。
この記事の要点
- スタジオは光を組める。天候に左右されません
- ロケーションは本物の景色と季節が入ります
- 振袖は屋外での負担が大きい衣装です
- ロケーションを選ぶなら、雨天時の対応を必ず確認してください
- 当店はスタジオ撮影のみです。ロケーション撮影は行っておりません
よくあるご質問
Q01スタジオとロケーション、どちらがいいですか?
得られるものが違います。振袖の柄と色をきちんと残したいならスタジオ、季節の景色を入れたいならロケーションが向きます。
Q02ノーブレムではロケーション撮影はできますか?
できません。当店はスタジオ撮影のみです。屋外で撮られたい場合は、対応している写真館をお探しください。
Q03スタジオだと同じような写真になりませんか?
なりません。背景紙とインテリア空間で印象が変わり、光の組み方でも大きく変わります。当店では両方の背景をご用意しています。
Q04雨が降ったらロケーション撮影はどうなりますか?
延期になるか、スタジオでの撮影に変わるかは店によります。契約前に、雨天時の対応と延期の判断時期、手数料を確認してください。
Q05屋外だと着崩れませんか?
崩れやすくなります。歩く距離、風、座る動作。いずれも着崩れの原因です。直せる方が同行するかを確認してください。
Q06振袖が汚れたらどうなりますか?
レンタルの場合、汚れたときの扱いは店によって異なります。屋外で着るなら、この点を先に確認しておいてください。
Q07冬のロケーション撮影はどうですか?
寒さで表情が固くなることがあります。防寒の対策と、温まれる場所があるかを確認してください。
Q08桜の時期に撮れますか?
ロケーション撮影であれば、その時期にしか撮れない景色が残ります。ただし開花の時期は年によって変わるため、日程の融通が必要です。
Q09スタジオで季節感は出せますか?
小物や装飾で表現します。本物の桜や紅葉が入るわけではありませんが、色と質感で季節を感じさせる形はあります。
Q10ロケーションのほうが自然な写真になりますか?
一概には言えません。スタジオでも会話の中で撮れば自然な表情になります。背景が本物かどうかと、表情が自然かどうかは別の話です。
Q11家族写真はどちらで撮るのがいいですか?
スタジオが向きやすいものです。移動と待ち時間が少なく、室温も一定で、祖父母がご一緒でも負担が軽くて済みます。
Q12スタジオとロケーションの両方で撮れますか?
両方を組み合わせる形を用意している写真館もあります。当店ではスタジオのみのため、対応しておりません。
Q13撮影場所に許可は必要ですか?
場所によります。神社や庭園では撮影が制限されていることがあり、使用料がかかる場合もあります。ロケーション撮影を選ぶ際は確認してください。
Q14他の人が写り込みませんか?
公共の場所では起こりえます。時間帯や場所の選び方で減らせますので、事前にご相談ください。
Q15ロケーションだと撮影時間は短くなりますか?
移動の分だけ撮影に使える時間は減ります。撮影に使える正味の時間を確認しておいてください。
Q16スタジオのほうが振袖の色は正確に出ますか?
その傾向があります。照明を組んで撮るためです。屋外では空の色や周囲の反射で色が変わります。
Q17たくさん衣装を替えたいのですが。
スタジオが向きます。同じ場所で着替えができるため、時間の無駄が出ません。
Q18ロケーション撮影は料金が高いですか?
店によります。移動や許可の費用が加わることがあるため、含まれる内容を確認してください。
Q19スタジオ撮影の背景は選べますか?
当店では背景紙とインテリア空間からお選びいただけます。印象が変わりますので、ご見学の際にご覧ください。
Q20撮り直しはできますか?
スタジオであれば、その場で光も背景も同じ条件で撮り直せます。屋外は光と天候が変わるため、同じ条件での撮り直しは難しくなります。



